作品つくり、云々かんぬん「金魚」と「Moon Child」誕生秘話

先日の「さくパン」の新作について人と話をしたり質問されたりしているうちに、知らず知らず作品の意図や作った経緯など自己分析していた。

あまり今までこういう事を意識して作っていなかったので、ここらで作品つくりについて色々考えてみたくなった。

今回は、新作2本「金魚」「Moon Child」についても、ご紹介します。
しかし、まだまだ作品としては、完成型ではないので、これで全てOKというわけではありません。
あくまで途中経過というか、誕生の秘話(大袈裟!)に触れてみたいと思います。
こうして文章にすることが、自分の為でもあるので。

ただの能書きですが、「こんなのもあるよ。」という
生徒さん達の「作品つくり」の参考になれば幸いです。

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パントマイムの作品をつくる(考える)場合、いくつかの“取っ掛かり”がある。

例えば、
・パントマイムの一つのテクニック(壁、ロープ、水中の動き、ロボット etc.)から思いつく。
・ストーリーが先に思い浮かぶ。
・曲を聴いてイメージが広がる。
・衣装のアイディアがあり、そこからイメージが広がる。
・あるはっきりとしたメッセージを伝えたいという思いがある。
・即興で思いのままに動いていて、その動きの面白さ(インスピレーション)から発想する。
・etc.

しかし、例えこの“取っ掛かり”があったとしても、作品として最後まで形になるかというと、そうではない。
これが所謂、“ボツネタ”である。
生み出した(舞台に乗せた)作品に比べ、なんと“ボツネタ”の数の多いことか!

“ボツネタ”が、時を経て作品になることは稀である。
が、奇跡的に何かのちょっとしたヒントを組み合わせる事で作品になることもある。
作品になる時期、なれる時期というのもあるのだろう。
どう足掻いても、形にならなかったものが、ある時期にすっと姿を現す。
実に不思議だ。


今回の2作品「金魚」と「Moom Child」は、ほぼ同時進行で形になっていった。(これも私としては、奇跡なのだが)

3月に復活ライヴとなった第3回さくっとパントマイムに出た直後から、「次は新作!」と心に誓っていた。
時間があれば、作品について考える。

 何かアイディアは無いか?
 ヒントは無いか?
 何が表現したいのか?
 何を表現できるのか?

 今の自分についても考える。
 最近体験したこと、思ったこと、感じたこと・・・。
 
 ドラマを見ていて感動して泣いた時、なぜ自分はここで泣けたのか? 考える。 何故だ?

 朝起きて、夢の続きのように頭がフル回転して、アイディアが浮かんでくる。

思いついたことは、とりあえずネタ帳に書きとめておく。
しかし稽古も出来ないまま時間だけが過ぎていく。


そんな中、銀座のパントマイムウィークを観に行き、様々なスタイルのパントマイム作品に触れる。
個性のぶつかり合い。

そこで自分とは、自分のスタイルとは?と考えた。

モヤモヤしていたものが、すっとんだ。
      「私は、私」で、いいじゃんか!(笑)


焦りも、欲もなく、自然体の自分でいられるようになった時、正に「降りてきた!」瞬間がやってきた。
本番の4日前だった。
考えるモードから、実創作モードに切り替わった瞬間。

それまでネタ帳に書き込んでいたアイディアが発展し、「Moon Child」の構想が浮かんだ。

ある芸術家のアトリエという状況設定、暗転と明転を繰り返しシーンを区切る始まりの「絵」、銅像を作っている売れない作家という設定、布を使ったラストシーンの「絵」が断片的に浮かんだ。
そこからストーリーというか、見せたいシーンのイメージを練り上げる。

「彫像を作るが納得出来る作品が出来ない、何度も作りは壊して苦悩する。
作れない恐怖に包まれる。
月明かり(照明に限度があるので、自分のイメージの中だけ)に照らされ、自らが彫像になっていくのか?夢の中、理想の中で完成した彫像なのか?
芸術家が死んだ後に残る彫像。
美術館に置かれているのか?それとも、アトリエに置かれたまま、人目にも触れず朽ちていくのか?」

これらのイメージがズルリと繋がって出てきた。

あとは作品の構成(映画のようなカット割り)を考えた。


これに対し「金魚」は、「Moon Child」が、やや重いテーマになりそうなので、軽めの作品が欲しいと考え出したものだ。
昔、藍義啓さんの公演に客演した時の作品を「いつか自分の作品にアレンジしてやってみたい。」と考えていたことを思い出した。
当時の作品は、金魚の面を被り、アルゼンチンタンゴを藍さん、細見さん、私の3人でスローモーションで踊ったものだった。当時、振り付けの一部と最後のポーズは私が考えたものだったので、思い入れもあった。

この「金魚の面」と「タンゴ」という組み合わせに、金魚のイメージと擬人化したキャラをダブらせて、
「揺らぐ感じ」=「気だるさ」
「売れ残った金魚」=「場末のスナックのママ」
「水槽のブクブク」=「シャボン玉」
「金魚のエサ」=「スナック菓子を食べる」
買い手を見つけ一目惚れ、その相手にタンゴでアピールする金魚。
しかし想いは届かず、ガラス(壁)にぶち当たり、「金魚~え~、きんぎょ~。」の声で、去っていくオチ。
現実とパントマイムの世界の狭間を生きている、金魚(私)の悲しい物語。

これは殆どアイディアが溢れるように出てきたので、一気に出来上がった。
実のところ、笑いを取るという意識はそれほど無かった(笑)


曲に左右される私には選曲も重要なので、これらのシーンに合う曲を探す。
今回は、手持ちのCDの中からこの2枚のアルバムに絞られた。

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「Moon Child」のタイトルが思い浮かばなかったので、曲タイトルをそのまま使わせて頂いた。
当然、許可は取ってない。(すみません)


今回のもう一つの収穫は、稽古場以外で考え事をする絶好の場所をみつけたこと。
お客が他にいない(失礼!www)ので、かなり集中出来る、隠れ家風のCafeである。
コーヒーに、金平糖がついている。

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こうして新作が生まれた。
進化していきそうな予感の2作品。
またお目に掛ける機会があれば、成長した姿をみてやって下さい。

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